漫画レビュー:アルキヘンロズカン

久しぶりに漫画のレビューを書きたくなったので書きます。

今回ご紹介するのは「アルキヘンロズカン」という漫画です。
この漫画のテーマは、お遍路。四国にある88カ所の寺を巡礼する、四国独自の文化に関するお話。


主人公は、漫画家。そしてサブ主人公?として、元会社員、現在ニートの女性。

この2人の遍路旅を中心に、遍路道中のさまざまな人間模様を描いている作品なわけですが、これがとてもリアルなのです。
作品自体は、作者もあとがきで述べているように「フィクションで、モデルになるような人がいても、個人を特定できないよう設定を変えてあります」とのことなのですが、やはり作者が実際に取材にいった様子がありありと伝わってくるようなリアリティがあります。

遍路に関する文献って、もともとそういう宗教的なことが好きな人が書くせいか、地元の方々が優しい!すばらしい出会いがあった!などと賞賛することが多かったり、または宗教・歴史的な小難しい話になったりすることが多いんですけど、これはあくまでもごく普通の現代人の視点で、普通に遍路を回ったらこんな感想を持つんじゃないか、という描き方をしています。


このレビューを書こうと思った理由の一つに、僕自身遍路経験があって内容に非常に共感したというのがあるのです。10以上前、まだ大学4年の頃に、夏休みを利用して3週間の自転車遍路旅をしました。
その時の体験を思い出しても、この漫画と同じようなことが本当にいろいろありました。

変な宗教系の人に絡まれたり、
遍路を騙ったホームレスのような人がいたり、
辛い過去を持った人の話を聞いたり・・・

いいことばかりじゃないんですよね。


個人的に好きだったのは、作者が道中で何度も出会う、「自分自身」との対話シーン。自分自身と対話する、なんて描写はちょっと厨二病っぽくて、普段の感覚からするとちょっと恥ずかしいじゃないですか。でも、お遍路という特殊な環境にいると、こういうのがほんとあるんですよ。

普段当たり前のようにある、「家の屋根」「布団」「ドアの鍵」「水道」「電気」・・・こういうものが当たり前でなくなる、遍路旅。そういう環境では、普段見えることのない、というか、普段無意識に目を背けている自分の嫌な部分に嫌でも気付くことになってしまったりするのです。



漫画としての感想ですが、とても素朴な画風です。シンプルですが、味わいがあり、遍路をテーマにした漫画にとてもマッチしていると感じました。またこの作者が描く女の子がとてもころころしててかわいらしいのでそれもいいです笑


遍路に特に興味がない人、遍路のことをそもそも知らなかった人も、
「日本にはまだこんな独特な文化が残ってるんだ」
というのを知るという意味で、とても楽しめる作品になっていると思います。
漫画だから読みやすいし。

そして、もしもこれで遍路に興味を持ったら、ぜひいってみて欲しいです。
自転車で20日、歩きで40日程度の道のり。

気軽に行ける場所ではありませんが、もしも人生で迷っていたら、思い切ってこういう旅に出てみるのもいいかもしれませんよ。

「自分探し」と称して海外旅行にいくのと比べると全然地味で、辛いことばかりですが、その分見つかるものはいろいろあると思います。