ファザーリング・ジャパン 安藤氏の講演会レビュー




NPO法人ファザーリング・ジャパンとは?



先日、僕の娘達がいっている保育園の父母会の企画でNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也氏をお呼びすることになりました。


ファザーリング・ジャパン(以下FJ)は「ワーク・ライフ・バランス」「女性の仕事と過程の両立」「父親の育児支援」等のキーワードで活動している人はまず知っている、最近とても勢いのあるNPO法人です。

僕が連載を描かせてもらっているニフティの『パパスイッチ』もFJとは繋がりが深く、ついこないだもパパスイッチとイベントをやったり、ニフティという会社自体でもFJの賛助会員になっています。


安藤氏は僕も写真で何度も拝見したことがあり、顔は知っていました。結構自由な格好をしていることが多く、先日の講演会でお会いした時も黒の皮ジャケにネックレスや指輪、ブレスレットにダメージジーンズとかなりロックでした。経歴を見ても元六本木ヒルズ族だったこともある、かなり華々しいもので、勝手に


「あー、イケイケドンドンの人なんだろうなー、オタク気質な僕とは合わんだろうなー」


と思っていました(笑)。

まあ、あとは真面目な話、そもそも安藤氏を始めとするFJの活動は「イクメンを推進する」内容が主なので、専業主夫として共感する部分は少ないんじゃないかと思っていました。イクメンの話は基本、仕事ばかりで妻や子供に時間を取らない男性に「いやいやそうじゃないんだよ」っていう意識改革を促すものなので、四六時中子供と一緒にいる専業主夫のパパにはあまり関係の無い話だろう、と。実際僕はFJのメールマガジンもずっと購読していますが、なかなか「自分に関係ある」「参加したい」と思うような内容はありませんし。どうしても「働いているパパ」が対象なんですよね。



大変共感、プレゼンテーションも上手い!



そんな先入観で挑んだ講演会でしたが、実際にお話を聞いてみると意外や意外、かなり同意するところが多くてビックリしました(安藤氏、大変失礼致しました 笑)。

今の日本の子育ての現状でなにが問題かという問題意識や今後どうなっていかなければいけないかというビジョンも共感できましたし、母子家庭・父子家庭の現状、いかに残業すると悪影響が出るかなどはデータを元に説明してくださり、とても納得度が高かったです。内容はもちろん父親の意識に関する話も多かったのですが、同じように母親の意識改革に関するものもありました。父親とはこうあるべき、という父親のみを説教するような話ではなく「家族がみんなでこう考えられたらいいよね」って感じの内容でした。


しかもすごいと思ったのが、話が上手く、全然飽きさせないところ。

とかくこういう「ライフスタイルの啓蒙」の話って上から目線だったり、押し付けがましくなりがちですが、そういう印象を与えずに聞いている人を巻き込みながら話を進めていくので、話がすっと入ってきます。例えば


「ママ達はもっとこうしなくちゃダメだよ」


的な話をしても、普通こういうことを男から言われたら女性も身構えてしまいますが、まるで井戸端会議に参加しているようなノリで話したりするので、お母さん達からの共感の笑いも多く沸き起こっていました。



「イクメン」という言葉はもう使わない!?



イクメンの話に関して僕が意外に思ったのが、安藤氏の


「来年、僕は多分イクメンという言葉をあまり使わないだろう」


という発言。安藤氏いわく、


「なにか社会の大きな動きを生み出すには、それをシンプルに表す『言葉』が必要。『エコ』『クールビズ』だってそう。言葉があるから広まりやすく、定着していく。定着したらそれが当たり前の習慣や行動になるので、言葉は必要なくなる


都市部では男性がベビーカーを押したり、子供の保育園の送り迎えをするのはもう当たり前になっていているので、イクメンという言葉はどんどん廃れていくのではないかと予想していました(ちなみに地方では今「イクメン」が全盛期だそうです笑 やはり地域差はあるんですね)。


なるほど、と思いました。やはりこういうライフスタイルを定着させるには、多少大げさとも取られかねない、わかりやすい表現が必要なのでしょう。イクメンがファッション化している部分はあるとは思いますが、それは「エコ」ブームの時もそうでしたよね。多少大げさでも、結果としてこういう発想が社会に根付くことを目指しているのなら、そしてそれをイクメン推進の第一人者の方もわかってやっているのなら、それでいいのでしょうね。



「具体的な行動」の物足りなさ



安藤氏のプレゼンテーションはとても面白く、この講演を聞いたお父さん達は、講演を聞いた直後は


「もっと頑張らなきゃ! もっと変わらなきゃ!」


と思うこと必至でしょう。しかし、その後に繋がる話がもう少し欲しかった、というのはありました。

安藤氏は講演でも


「よく、『子供達と仲良くなるにはどうやったらいいですか?』といった質問を受ける。お父さんたちはどうしても技法にこだわる、そんな小手先の技なんてない、とにかく子供との時間を作って一緒にいればわかってくる


と言っていました。確かにそうなんです。僕もそうだと思います。でも経験の無いお父さん達は子供とどうやって接してよいのか、「本当にわからない」。知識も、情報も、模範となる人間も、なにも知らない。そんな人に「とにかく関われ」といっても、正直苦痛の方が大きいと思うんですよね。少なくとも、僕はそうでした。


講演が終わり、勇んで自宅に帰って子供に「遊ぼうよ!」といっても、いきなり「ヤダー!」と泣かれては、せっかく上がったテンションも台無しです。

いや、父親なんだからそんなの頑張り続けて当たり前、と言えばそれまでなのですが、実際「わかってはいるけど、なかなか行動に移せない」父親がどれだけ多いことか。そんな「超初心者」のお父さん達にはもう少し手取り足取り、ノウハウを伝えてもいいのではないかと思いました(もしかしたら、そういった内容に特化したプレゼン等が別にあるのかもしれませんが)。



安藤氏は「すごすぎる」



安藤氏は3人のお子さんの父親。保育園の送り迎えはしっかりやり、保育園の父母会の会長も務め、井戸端会議も好きで子育てもしっかりやり、地域社会との繋がりも大事にしつつ、しかもFJの代表として社会・国を変えていくべく精力的に活動し、ワーク・ライフ・バランスを達成している・・・まさに理想的なロールモデルです。もちろん、こういう父親支援活動をしているトップの方なので皆の模範となるよう、そういった「演出」をしている部分もあるのでしょうが、でも人間そんなに自分のキャラを偽ったまま生活できないですもんね、きっと本当にこういう才能に長けた方なのでしょう。すごいです。

でも、なんか凄すぎてちょっと別世界の人っぽいです。専業主夫の僕でさえ「ここまで精力的に育児をできないよ・・・」って思う部分もあったので、超初心者パパなら安藤氏を模範にしようと思っても


「子育てってここまでいろいろやらないといけないの? ちょっと俺には荷が重すぎる・・・


なんて若干引いてしまうような気がします。なので、もう少し「イクメンの失敗談」、「ダメなイクメン」の部分が聞けたらいいな、と思いました。「子育ては楽しいもの」、確かにそうなんですけど、実際は楽しくないことの方が多いですもんね。楽しくないことは不思議とすぐに忘れてしまうのでなんとかやっていけてますけど。辛い時に「まあ、あの人よりかはマシだよな・・・」というマイナスのロールモデル、反面教師的なサンプルの話、ダメな父親同士の傷の舐め合い的な話も・・・(あ、でもこれはFJがやることじゃないかも、カタルエでやるか 笑)





カタルエはFJの活動を応援します



とまあ、いろいろ語りましたが、とにかくいい講演だったわけですよ。この講演の後は「絵本ライブ」なるものもあり、保育園児を相手に絵本の読み聞かせ&ギター演奏がありました。子供たちが大喜びしてて、「おいおい、うちの子大ウケだよ、僕が絵本読み聞かせてもあんなに喜ばないのにこれはどういうことだよ・・・」と、ちょっと嫉妬するくらい上手でした。


今回の講演を聞き、改めてFJの活動を応援したくなりました(別に今まで応援してなかったわけじゃないよ!)。

カタルエはFJの活動を陰ながら応援しております。いや、こんな弱小ブログに応援されたからってなにもメリットはないですが、まあ気持ちが大事ですよね!




あ、ただ賛助会員になるのは、僕のお小遣いがもう少し増えたらということで・・・笑






最後に、安藤氏がプレゼンテーションで「笑う父親になるための、ファザーリングの極意6ヶ条」というものを紹介していましたので引用します。



笑う父親になるための、 ファザーリングの極意6カ条




  • 子どもができたらOS(父親ソフト)を入れ替えよう

  • 義務から権利へ。客体から主体へ。さらば「家族サービス」

  • 男の育児は、質より量。イイトコドリ育児をやめよう

  • 子育てパパは仕事もデキル。育児で備わる3つの能力

  • パートナーシップの構築~妻の人生は、夫のものではない

  • 地域活動を通じて、シチズンシップを獲得しよう






関連する記事