大切なことは全部マンガから教わった 3 『ワンダービット』






大切なことは全部マンガから教わった 3



「ワンダービット 山ちゃんと魔法のランプ」 島本和彦



これは是非紹介したい!

この島本和彦の『ワンダービット』ってマンガは、そんなに有名なマンガではないんですよ。でも確実にこのマンガは、僕の人生観を大きく変えました。




僕はこの島本和彦のマンガはかなり読んでいますし、持っています。敬愛しています。そしてその上で、彼を“永遠のB級マンガ家”と呼びたいです。あまりに熱く、勢いがあり、いろいろなんだか振り切ってしまっていて、作品の出来のムラがすごい。超駄作と超傑作のフレ幅があり過ぎる。でも島本マンガはそれでいいんです。勢いで「バーン!」ってやって、出たとこ勝負でいいんです。



ワンダービットは、そんな島本和彦の短編を集めた短編集。もう既に絶版になっていて、僕自身も過去にお金に困窮した時にこのマンガは売ってしまった為、現物がなく、細かいタイトルや描写がうろ覚えだったのですが、ネットで検索するとストーリーまで出ていました!いやーネットはすごいね。こんな昔のマンガまでWikiで説明があるよ。



今回紹介する『山ちゃんと魔法のランプ』という作品はそんな短編のひとつなのですが、タイトルから容易に想像できますが、魔法のランプが出てきて、魔法の精霊が出てきます。そして主人公、山ちゃんは、ボンゴロと名乗るその魔法の精霊にお決まりの「願い事を3つ叶えてやる」と言われます。そして山ちゃんがお願いした願いは、、、



「あと一万個願いを叶えてくれ!」




「願い事を叶える」という物語は数多くありますが、まずこんな願いは“ナシ”でしょう。ずるいし、まあストーリー的にも破綻しますし。でもこのボンゴロは「わかりました!」と、この願いを叶えてしまいます。



それからは山ちゃんのパラダイス。欲しいものは何でも手に入ります。女、最新の電化製品、不動産、、、誰もが憧れる生活です。

しかし、それは長く続かず。



願いを5000個強の願い叶えたところで、願いが尽きてしまいます。最後は「麦茶が飲みたい」とかどうでもいい願いを頼んでます。もう願いを考え、考え尽くし、自分が何の為に生きているのかがわからなくなり、廃人のようになります。そして、最後に山ちゃんがボンゴロにお願いした願いは、、、



「残りの4000個強の願いは、全て自分に対する逆境にしてくれ!」

(正確な台詞は忘れましたが、意味はこんな感じ)



そしてボンゴロは「わかりました」といって、消える。山ちゃんにはそれからものすごい数の逆境が訪れますが、「やったるでー!」といって立ち向かっていく、、、という話です。



人の欲ってのは尽きることはありませんし、またそれらをラクに手に入れたいといつでも願っています。こんな魔法のランプの精がいたらいいなあなんて誰でも思ったことがあるのではないでしょうか。



欲しいと思いついた瞬間、欲しいものが手に入る。これは一見幸せに見えるかもしれませんが、実は恐ろしいことです。そこには、手に入れるまでの“過程”が全くありませんから。女だって、落とせるかどうかわからないから熱くなれる。ゲームだって、簡単にクリアできないから面白い。仕事だって、うまくいかない時があるからこそ、やり遂げた時のビールが旨い。



全てのことが魔法の精への願いひとつで叶ってしまったら、そこにはなんの意味も無くなってしまう。



「なら、達成できないように願いを容易に使わなきゃいいんじゃないの?」



と思う方もいるかもしれませんが、人間の意思はそんなに強いものではないと思います。ちょっとは我慢できるかもしれませんが、精神的に辛くなってしまえばきっと願いを使って、全てを覆してしまうでしょう。



願いも一万個もあれば使い切ることなんて到底できませんし、また恐ろしいのは、きっとこの魔法の精、仮に一万個の願いを言ったとしても、最後の1つで



「あと一万個の願いを叶えて欲しい」



と言ったら、きっと叶えてくれます。願い事が終わりに近づいたら、きっと願い事を叶えることができなくなる不安に耐え切れず、こう願ってしまうでしょう。



この「願い事地獄」から抜け出す為には、スパッとやめるしか方法はないのです。ここは人それぞれあるとは思いますが、この主人公山ちゃんの願いは、熱くていいですねー。「逆境」って。願い事が何でも叶う立場の人が、「逆境」を求める、これは人生を楽しむ上でのひとつの真理だな、とすら思いました。





僕だったらやめる時、どうやってお願いするかな、、、きっと、



「魔法のランプ関連の記憶を一切消して、適度に逆境がある普通の人生を送りたい。残りの願いは取り消す」


かな、、、


って、もしかして今の自分!?


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