少年とデートした夜 後編



少年とデートした夜 前編の続き)

ええええええええええええ!!!?

若い男をオッサンが買う!?

漫画とかでは見たことあるけど、実際にそんな世界があるのか!!?


シノブ「やっぱりヒキますよね。なんか申し訳ないです、ごめんなさい」

オレ「あ…… いや、そんなことないよ。ってか謝ることないし……」

シノブ「じゃあ、今日はこの後も一緒にいてくれますか!?」

オレ「う、うん……」

シノブ「ありがとうございます!じゃあ、服の店いきましょう!」

(オレ、なんか振り回されてないか?しかも年下の男に……!?)

オレ「あ、あのさ、じゃあ、もしかして」

シノブ「はい?」

オレ「『シノブ』って名前さ……」

シノブ「はい、源氏名です」


やっぱりぃぃぃ!!


この後、オレとシノブのデートが始まった。

いや、ただの男二人の買い物と思われるかもしれないが、

あれは紛れもなく“デート”だったのだ。

だって、



手ぇ繋いで歩いてたし。




流れでなんか断れなかったんだよ!それにオレ自身

「ナニこの状況!こんな経験二度とないかも!」

と、好奇心に負けていた。

もう、いつもそうだ。オレはいつも、好奇心に振り回される。

その結果良い方に転んだ事もあるが、

好奇心に負けたばかりに取り返しのつかないことになったことも数知れず。


シノブに連れられるままに服を見るが、オレは服の事なんかよりも

自分の手に伝わってくるシノブの手のぬくもりを感じる度に

「オトコとして大事な“何か”を失っていないか」

どうかを自問自答して、確認し続けていた。


夜にさしかかった頃、シノブのケータイに着信が入る。

どうやら例の先生からで、今から新宿に来て合流するという。

オレはシノブと二人きりの時間が正直きつかったのでホッとした反面、

シノブと二人きりでデートということを知って先生が怒らないか、不安になった。

何故かこの時には「帰る」という選択はしなかった。

きっとシノブの

「先生がご飯おごってくれるよ。アイツ金持ってるし」

という台詞に流されたんだろう。バカなオレ。


先生の紹介で、雰囲気の良い居酒屋で夕食を食べる。

そこでは学問の話等、真面目な話を中心にした。

シノブは退屈そうだったが、オレはシノブとの会話のネタが

ほとんど尽きていたので、この状況は楽だった。


酒もだいぶ回ってきた頃。

先生「ムーチョ君、2件目も行くよね?私のいきつけのところがあるんだが」

オレ「あ、いや……
(もういい加減お開きでいいだろう、このタイミングならカドも立たないし)」

先生「ムーチョ君、ゴールデン街って行ったことある?」


ゴ、、ゴールデン街!?かの有名な、歌舞伎町ゴールデン街か!?

前から行ってみたかったけどあんなところ一人じゃいけないし、

これはまたとないチャンス……!!


先生「どうする?時間は……」

オレ「はい、大丈夫っす!行きます!」

またしてもアホなオレ。


初めてのゴールデン街は衝撃的だった。

飲み屋の看板が道沿いにズラーッと並んでいる。

中には看板すらない店もあった。

ある古びた木造の家の前に止まり、

そこにあった入り口の高さが1メートルしかないところに入る。

階段が続いており、ギリギリ人が一人通れる程度の狭さ。

ギシギシと音を立てながら上ると、そこにはバーがあった。

カウンター席のみで、客は6人くらいしか座れないというこれまた狭い場所だった。

店内には、なにやら猛烈に怪し気な写真がところ狭しと飾られている。

全身を白塗りにした男達の写真、変なポーズになっている写真……

この上なく不気味である。


このことを先生に尋ねると、

先生「ああ、ここはマスターの息子さんが暗黒舞踏をやっててね、

その写真が飾ってあるんだよ」



もうなんでもいいよ



(ちなみに暗黒舞踏とは


オレはどうしてもその店内の雰囲気に馴染めず、ここではかなり無口で

ひたすら先生とマスターの会話を聞いていた。

シノブは、酔っ払ったのか、気持ち良さそうにぐったりしている。


本当にもう帰ればいいのに、こんな調子で3件目へ突入。

ここもゴールデン街の店で、今度はキレイなママがいるところだった。

3件目ともなってくるとオレもだいぶ酔いが回っていて、

なにもかもがどうでも良くなってきていた。

シノブが酔っ払ってオレの腕にガッシリしがみついていて、

先生がそれを恨めしそうに見ていたけど、それも全部どうでも良かった。

それよりも、途中から店に現れたギター弾きのおじいさんの演奏に聞き入っていた。


このギターを演奏するおじいさんはこうやってゴールデン街の店を渡り歩いて、

店からお金をもらっているらしい。

客のリクエストに答えて歌ってくれたりもして、気の良いオッサンなのだが

そもそもの選曲がものすごい古い。一曲も知らない。

持っているボロボロの楽譜も何十年も使い古されているっぽい。

ちなみにいうと、歌はあまり上手くない。

弦のチューニングもビミョーにずれている。

でもそれが絶妙にゴールデン街の雰囲気とマッチしている。


十分に酔った後、店を出る。そして先生からの提案。

先生「だいぶ酔ったね。良かったからウチにこないか?

タクシーで行けば早いし。家も部屋が余っているから、泊まっていけばいいよ


……


…………


か、、帰りますぅーーーー!!!!!


この後、しばらくシノブとはメールが続いたが、自然消滅した。

シノブとのことがあってから勉強会にも参加しづらくなっていかなくなった。

というか、もしもシノブの話が本当ならば、

いくら学問の専門知識があっても、

未成年の少年を買う先生から教えを乞うというのは……

真偽はわからないが、どちらにしろそんなことを気にしながら

勉強なんかできないし。


結局最後までシノブの本名は結局聞けずじまいだった。

今も、元気にやっているのだろうか。




これでオレの昔話は終わりです。

長文に付き合ってくださってありがとうございます。

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