式根島 1日目



伊豆諸島、式根島へ行く


「うあああああああああああああああ!!もうやだ!!こんな家でゴロゴロしてるだけの生活は嫌だああああ!!!!」 

という叫びから始まったこの旅、もう半ば勢いだけで動いた為実行までに時間はそれほどかからなかった。とにかくこの生活から逃れたい、そんな一心でひたすら準備をした。

もちろんオレも好きでゴロゴロしているわけじゃない。ここのところ自律神経失調症の症状が強く出ていてなかなか外出することができなかったのだ。
こんな事はもう幾度となく経験しているし慣れっこだった筈なのだが、この時はどうにも堪え切れなかった。

体調がどうなってもいい、途中で倒れてもいい、きっと誰か助けてくれるだろう、いやもしも助からなかったとしてもそれはもう運命だ!というヤケクソな決断だった。今思うとその位精神的に追い詰められていたのだろう。

オレはチャリ旅を学生の頃からよくやっていたので、この旅もチャリで行くことにする。愛車『修一丸2号』にチャリ用バッグ、テント、寝袋などを猛スピードで積み、船のチケットの予約をして、式根島行きの船が出ている港、竹芝桟橋へと向かった。


1日目 ~出航~

「ボーーーーーーーーーーーウウウウ」

という汽笛の音と共に、船は出港した。オレの席は、2等和室。人一人分だけが寝れるスペースが、テープで仕切られている。オレはとりあえずそこに荷物をおき、デッキへと向かった。いつでも、この出航する様子を見るのが好きなのだ。

船は、丁度レインボーブリッジの下を通るところだった。オレはお台場の夜景を見ているうちに気分が良くなり、ビールを買って一番上のデッキまで上がった。一番上のデッキは確かに眺めはいいのだが、それ以上に人が大勢いて、落ち着かなかった。そして予想以上に若い人がたくさんいることに驚いた。
伊豆諸島に行く人なんておじさん、おばさんばかりだと勝手に思い込んでいたが、船に乗っているのはほとんど家族連れ、カップル、20代くらいのグループ。皆夜景を見て感動したり、写真撮ったりしてわいわい騒いでいた。オレは人少ないところに移り、独りビールを飲んでいた。



夜景に群がる女達。フン、あんなものただの電球の集まりだ。



"この旅は、オレがまだ完全に治っていない状態でどこまでできるか、という試練でもあるのだ、、、残念ながら、こいつらみたいにキャーキャーできるような気分には慣れないな、、、" 

夜景をみながら、そんなことを考えていた。
そんな時。

「すいませーん、カメラおねがいしていいですかぁー?」

振り向くと、20代半ば同い年位の女の子3人組がカメラを持っている。みると、真ん中の子が、、、カワイイ。


カチッ(なにかのスイッチが入る音)


「あ、いいですよー!どっちバックに撮りますー?え、東京タワーが入るように?じゃあ早く撮らないと見えなくなっちゃいますね、アハハ!じゃあいきますよー、パシャ!」

「ありがとうございまーす!」

「これからどこ行くの?」

「式根島にいくんですー」

「え、マジ?オレもだよ。何日くらい、、、」

いやー、改めて旅はいいね!そして改めてオレの素早い機嫌転換もいいね!なんでもこの三人は原宿の『Z○RA』の店員らしい。オレもいったことあるよーなんて話で盛り上がる。5分くらい話して

"この旅、もしかしたら、もしかしちゃうんじゃないー?"

なんてアホな妄想が膨らんできた頃、"アレ"が来た。

、、、まじかよ、、、頭がグラグラして焦点が合わない、、、

オレは口数も減り、立つことすらやっとというような状態となったので、なんとか話を取り繕って、その場を去る。嗚呼、ダメだ。この体調でいる限り、、、なにもかもうまくいかない、、、とりあえず出会いとかは期待するだけでパワーを消耗するから、この旅では忘れよう、、、


この日は、久しぶりに落ち込みながら、寝た。