精神神経科



とある大学病院にいった。もちろん精神神経科だ。
話には聞いていたが、ものすごく待たされた。
ただでさえ病院なんて来たくない場所なのに、そんなところに来て何時間も待たされると、本当に気分が悪くなる。病院に来て具合悪くなってるようじゃ本末転倒だ、、、なんて事を待合室でただひたすらじっと座りながら考えていると、ふいにある男が話しかけてきた。

「おっ、よう」

、、、!?

オレは戸惑った。この男、あたかもオレを知ってるかのような素振りだったからだ。オレは全然見覚えがないながらも、

「あ、どうも」

なんて無難な返事をした。

「最近、景気はどうよ」

「はあ、まあまあですね、、、」

「そうか、そりゃいいね、今世の中全部ダメだからねーダメだよ、ダメ

、、、あ、なんだ、この人やっぱり知らない人だ。 


男は、続けて話してきた。

「人生はね、恥をさらして生きていくんだよ。ずっと恥をさらしてさ
「みんなそう、俺も、あんたも、恥をさらしていくんだよ
「ずーっと恥をさらしていくんだよ
恥をさらして
恥を、、


相づちを打つヒマもなく、この台詞はこの後約50回ほど繰り返された。





つーか誰だよお前!!




"これ以上関わるとこっちが参ってしまう、、、"と思ったオレは、ケータイの着信があったフリをして

「あ、ごめんなさい、ちょっと電話かかってきちゃいました」

と嘘をつき、その場を離れた。既に長時間待たされて不快な気分を味わっている時に、これである。普段ならテキトーに流せるところだが、この時は本当に気分が落ちた。まったく、勘弁してくれよ、、、ちなみにその男オレがいなくなるとまた他の人に同じように「おっ、よう」なんて話しかけていた。



オレは移動し、別の場所でぐったりしていると、院内放送が流れた。

『院内の皆様に申し上げます。最近、院内での盗難が多発しております。お手回りのお荷物には十分ご注意ください。また、院内で不審な方を見かけた場合、お近くの職員までお知らせください。』



この科では、"不審な方"かどうかを見分けるのは難しいと思う。