まだオレが元気だった頃



まだオレが元気だった頃。

入社直後の研修を楽しく終え、希望通りの配属先に決まり、
思った以上の給料をもらい、たくさんの仲間ができ、
飲み会いったり合コンいったり、好きなもの買いまくったりして

「っていうか人生ってラクショー?」

なんて思ってた頃。

でも、自分の配属先の部署に、なにか、なにか言葉にできない違和感を感じていた頃。


まだ、この部署の人間模様について詳しく知らなかった頃。 



仮に、A先輩としよう。彼はオレのいっこ上の先輩、しかし年は同じだ(オレは一年ずれている)。まあ簡単に言うと「ドラえもん」のスネ夫のようなキャラだ。他の先輩の前ではへこへこするくせに、オレの前では偉そうにする、さしずめオレは彼の中では「のび太」の位置づけになっているのだろう。
オレはまだこの頃あまりよく彼について知らなかったため、一応先輩ということをたてて、笑顔で普通に接していた。

ある日、いつもオフィスでは静かな彼が、珍しく他の先輩達が誰もいなくなった際に突然話しかけてきた。ちょうどその時オフィスには彼とオレ、そしてアルバイトのSさんを含め3人しかいなかった。

「ムーチョ、ちょっと一休みしよう、10分くらい」

意外な言葉だった。彼は以前オレがランチの時間を少しずらしただけで

「ランチの戻り時間に戻らないなんて言語道断だ。何故か?慣習だからだ。

などとくだらないことを30分かけて説教するような人だったからだ(そんな時間あったら仕事してほしい)。

「いいんですか?」

「いいんだよ、休も、休も。あ、Sさんも一緒にね。」

なんだ、あんなに時間に厳しいのは先輩の目があったからなんだと幻滅しつつも、自分も疲れていたので少し休むことにする。するとAさん、突然オレに向かって、

「で、ムーチョとはあまり話す機会ないから聞きたいんだけどさ、今彼女とかいるの?


ハァ!?


いきなり唐突になにをいいだすんだ、こいつ。しかも仕事中、そういう事話す空気じゃないだろうが。

「いやーAさん、ほら、仕事中ですし、、、」

なんて笑って流そうとすると、

「いいじゃん、この際ぶっちゃけようよ。ほらほら、ここにいる3人って、みんな口堅いキャラじゃん?

なんでそんなことわかるんだよ。オレはなんとか流そうとしたが、バイトのSさんも話に乗ってきて、仕方なく話した。

「、、、しょうがないですねー、いますよ、彼女(この頃はいたのだ)。

お、マジでっ!で、どうなのよ、どこで知り合ったの?何年くらい付き合ってんの?」

簡単に詳細を話したが、この時つい、現在の様子についても漏らしてしまった。丁度彼女とケンカ中だったので、

「、、、でも、実は今、うまくいってないんですよねー、、、あ!このこと、分かってると思いますけど誰にも言わないでくださいね!

もちろん分かってるって。しかしケンカ中かー、つらいねー」

「で、Aさんはどうなんですか?彼女いるんですか?」


「いるよ。でも、ゴッメン、今超順調(笑)










その後話題はバイトのSさんに簡単に振られ、残りの時間はAさんの女性遍歴の自慢をずっと聞かされた。くだらねー、付き合った女の数が生きがいかコイツは。

「いやー、ムーチョとSさんのこと、いろいろ聞けてよかったよ。まじ、この会話、オフレコね。


疲れた休み時間だった。 



そして次の日、

出社して自分のデスクに座ろうとすると、俺の側に座っている少し年上の先輩、Mさんが話しかけてきた。








「お、ムーチョ、今彼女とうまくいってないんだってねー」












ウワー








この後の、Aさんとの関係?もちろんフツーに接してますよ。笑顔で。 


アア、オトナってタイヘン、、、