5日目 ~家族連れと一緒~

スタート位置:徳島・勝浦町

札所:4ヶ所

20番 鶴林寺

21番 太龍寺

22番 平等寺

23番 薬王寺





最悪の朝

昨日は耳栓があったので、よく眠れた。しかし、天気は最悪。耳栓をはずすとともにテントにあたるすごい雨音が聞こえてきた。ああ、本当にお天道様のありがたさを実感する。

5時頃起きてからゴロゴロしながら準備、7時頃には全て終わったが雨のせいでテントをたためず、ずっと蒸し暑い中、東京の友達に手紙を書いていた。9時になっても降り止まないので、決心して雨の中テントをたたむ。朝っぱらから本当にイヤんなる。

そしてもっとイヤんなっちゃったのが20番、鶴林寺である。この寺までの道が異常に険しいのである。ひどく急な勾配、そして容赦ない大雨。しかも朝飯もろくに食べないまま出発したので、途中倒れそうなほど腹が減る。しかし山なので雨宿りできる場所もなく、打ちつける大雨の中、ふにゃふにゃになったカロリーメイトをほうばる。

こうしてまで登った寺、やることは賽銭投げて、お札納めるだけ。遍路でなければ全くもってアホらしい。





バスのお遍路さん達。







家族と一緒

無事、我流簡単参拝が終わって、写真も撮って寺をでようとすると、ある家族連れとすれちがった。オレは一礼して普通に去ろうとしたが、その家族のお母さんらしき人が



「あ、どこかでお会いしたような、、、」



というではないか。すぐにわかった。11番藤井寺で会った人達だった。このときは4、5分会話をしたが、まあお遍路さんがよくする「どこからきたんですか?」「どうまわってるんですか?」という社交辞令的なものだったので、特に日記にも書いていない。どこかで見た人とすれ違うことはあるが、2回会って話をしたのは初めてだ。オレはまた丁重に挨拶して、下山する。

それから雨の中、一気に下山する。ブレーキが利きにくくて怖い。せっかく頑張って登った坂、雨天だと下りの楽しみもないのだ。そしてしばらくすると、雨はやみ、今度はじりじりと照りつける太陽が出てくる。腕の皮膚が痛くなってきた。今度は日焼け止めクリームだ。嗚呼、本当に天気には参る。





ミラー越しの自分。





道端にチャリを止めてクリームを一生懸命腕にすりこんでいると、うしろからハイヤーの車が来て、オレのすぐ隣にとまった。窓があいて、みてみるとさっきの家族連れだ。お母さんが、その窓からタオルを2枚差し出して、



「これもなにかの縁ですから、どうぞ」



といってオレに渡した。マジで助かった。タオルはもうすべて使い切ってしまって、今日は今まで坊主頭で走っていたのだ。

天気もよくなり、とても嬉しい思いまでして、めちゃめちゃ気分爽快。こんなにアップダウンが激しい毎日もそう無いだろう。

その後ロープウェイ乗り場に到着。チャリで登る?ノンノン。文明の利器を活用しなきゃ。もう山はいい、、、オレは別に登山しに来てる訳じゃない、、、ちょこっと後ろめたさを感じつつ、ロープウェイチケットを買いに乗り場へ向かうと、少し予想はしていたが、さっきの家族連れがいた。



オレ「あ、どうも!」

家族連れ「あーどうも!これからロープウェイですか?」

オレ「はい」

家「お食事はもう済ませました?今団体さんが乗って混んでいるようなので、私達は次の便にするんですよ。よかったら、お食事ご一緒しませんか?」

オレ「え、いいんですか!?」



え、いいんですか。まじ、ラッキー!!という思いで胸いっぱいである。







ロープウェイ乗り場のレストランに、家族連れの3人、そしてオレを合わせて4人で入る。両親と子供一人の家族で、苗字をカトリさんという。子供さんは中学一年生、なんでも夏休みの自由研究の課題のためお遍路をまわっているそうだ。3年かけて車で全部まわるらしい。

食事が終わり、お母さんにお礼をいう。そして店から出ると家族のハイヤーの運転手さんが



「ほい、これお接待。お客さんの前だといやらしいからな」



といってこっそりロープウェイのチケットをくれた。おおお!!これ買うと2400円よ。マジ感謝!

ロープウェイでは、天気が悪く、景色はあまりよく見れなかった。お父さんがロープウェイのイスに座ったまま、動かない。「この人、高所恐怖症なんです」とお母さんはいっていたが、本当に辛そうだ。



21番、太龍寺に着く。オレはいつも寺に着いたら箱に札と賽銭投げ入れておしまいだが、今回はカトリさん家族、そしてハイヤーの運転手さん(この人はガイドも兼ねている)と一緒だったので、正式な参拝の仕方を教えてもらった。



ガイド兼運転手のおっちゃんはかなり詳しかった。寺にまつわるいろいろな伝説を教えてもらった。聞けば今までオレが2、3分しか滞在しなかった寺にも、いろいろな見所があったらしい。ちょっと損した気分。



ロープウェイを降り、ふもとの駐車場でお母さんが



「今日、私達は車で24番までいくのでもうお会いすることはないでしょうから、これからもがんばってくださいね。これは、お賽銭用に使ってください」



と、5円玉50枚をくれる。

嬉しい。これから毎回参拝する時はあなた達のことを思い出しながら賽銭を投げるよ、そう心に誓った。運転手さんからは買うと1000円以上はする車用の地図をくれた。ありがとう。このご恩は忘れません。

オレはお礼に、お札の裏にメッセージを書いたものを渡した。ロープウェイの中でこっそり書いたのだ。すごく満たされた気分で、カトリさん家族の車に手を振りながら、見送る。





お加持水

次の寺、22番平等寺ではお大師さまが掘ったとされるお加持水があった。これがあのお加持水か。聞くと飲めるらしいので、ありがたく井戸の水をペットボトルに汲む。22番から、23番までは、結構遠い。オレはひたすらこぎ続けた。

途中、道端に座ってさっきのありがたい水をぐーっといただく。ほんと、なんだかんだいって水が一番よ。ああ、なんかありがたいな。お大師さんに感謝です。感慨にひたりつつ、ふとみるとペットボトルの底に泥が溜まってる。

、、、オウ。まあいいか。ありがたいし。





野良犬が多い。





薬王寺YH

23番薬王寺を参拝した後は、南国のスコールを思わせるようなひどい雨。もうテントもオレも耐えられないっぽかったので、地図で近くのユースホステルを調べ、電話する。幸い、空いていた。しかも3000円!しかもしかも今いる場所から徒歩一分!やっと、やっと、四国に来て初めて、あったかい布団で寝られる!



ユースホステルに着くと、やけに静かだった。ここを経営するおばあちゃんがでてきて、とりあえず宿泊の手続きをする。聞くと、今日の客はオレだけらしい。オレはユースホステルでの出会いにちょっと期待していたため、ちょっと残念だった。





大雨だったのでユースに泊まる。





ここのおばあちゃん、オレが部屋から出てくると夕ご飯に寿司を進めてくる。スシ!?知り合いにそういう人がいて、安く食えるというのだ。まじかよ、またお接待だ、と思いつつ、



「でも高いんじゃ、、、?」と聞くと、

「こんなもんじゃ」



といって指を四本立てた。4本、、、4000円、ということはないから400円だろう。400円で寿司が食えるぞーーー!!

「じゃあ、もらいます!」

「そうか、ちょっと待ってな」

といって、持ってきたのはパックにつまった冷え冷えのチラシ寿司。

、、、にぎりじゃないのか、、、っていうか、むしろ高くね、、、?



現物を見ないで決断してしまった後悔。買うといってしまったから断れず、、、仕方がないからこれは明日の朝食にすることにして、コインランドリー&飯&風呂にいく。近場にこれが全部揃ってるなんて、なんていい町なんだ。



夜、日記を書きながら、ぬくい布団の中で、寝る。


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