19日目 ~石屋さんにお世話になる~

香川・国分寺町~



札所:4ヶ所

81番 白峰寺

82番 根香寺

83番 一宮寺

84番 屋島寺










昨日泊まった場所。

旅を始めた頃からこんな天気ならなあ、、、





キャンプ場に泊まるのは確かに快適だが、そのかわり他の遍路とあう可能性は低い。もう遍路旅もあと1日、なるべくいろんな人と話したい。オレは朝の準備をチャッチャと済ませ、中堅難所の白峰寺、根香寺へ向かった。



確かに難所、きついのだが、かなりこいで上がっていた。最近思うが、この旅をはじめた時より坂をこいで上がる距離が伸びている。やはりちょっとは筋力アップしているのかな。





今はフリーター

白峰寺では、茶髪の男と会う。彼の名はタツミさん。29で、今はフリーターらしい。ちょっと前までは運送屋で働いていたが飲酒で捕まってしまい、罰金20万、免停1年をくらい、仕事まで失ったそうだ。運送屋で免停はイタいな。

そしてその後フラッと旅にでて、四国で中古のママチャリを買って、遍路をまわることにしたのだという。途中から打っているので、まだ今日で5日目だそうだ。





ママチャリで遍路は正直きついです。





それから84番まで一緒にまわる。チャリ遍路で同行するのは初めてだ。やってて思ったが、ペースを合わせるのが難しい。タツミさんはママチャリ、オレはMTBだからスピードにどうしても差が出る。一人の旅に慣れていたから、遅く走ることがはじめちょっとまどろっこしかった。





八十四番。





香川の中心地、高松を通ったが、ここはめちゃめちゃ都会だ。駅の周りなんて、東京の新橋辺りと変わらないんじゃないか?ずっと田舎な風景が続いていたので、この変化には驚いた。ちなみにここでタツミさんと一緒にうどんを食った。ああ、うまい、うどん。





ロープウェイ?歩き?

次の寺は84番、ここにもロープウェイがある。オレはタツミさんと一緒に



「そりゃ使うしかないっすねー」



とか話してた。ロープウェイ乗り場までの道があまりよくわからなくてそこら辺にいたおばちゃんに話しかける。おばちゃんは



「ロープウェイ?あんたらロープウェイつかっていくの?あたしだって歩いて登っていくわよ」



という。

、、、なんか立場ねえなあ。ひくにひけず、歩いて登ることにした。



しかしこういった町の人にいわれたとおりに進むと、ラッキーなことがよく起こる。歩き始めてすぐに50くらいのおっさんが



「若いのに感心だ。これでジュースでも飲みなさい」



といって500円くれた。オレらは礼をいって、先へ進む。



まあ、登ってしまえばなんてことはない。オレはこの日から大師堂でも般若心経をあげることにした。なぜだかあまりよくわからないけど、なんとなくやりたくなったのである。



次、85番に向かう途中、コンビニへ立ち寄る。そしてさっきの500円でジュースを買った後、オレは風呂に行きたかったのでタツミさんと別れることにする。タツミさんは85番を打ちに、先にいった。





風呂場の"外国人"

風呂は、前ほど楽しい時間ではなくなってしまった。肘と膝のすり傷が痛くて、あまり長くはいっていられないのだ。オレは患部を手で押さえながら入る。

湯船につかっていると、3、4才くらいの女の子がお父さんと一緒に男湯に入っているのがみえた。その女の子、キャーキャーいいながら風呂場をかけまわっていたのだが、そのうち



「とうちゃーん、きてみてー、外人さんみつけたよー!きてー!」



といっている。外国人なんていたかな、、、と思い、その指差す先を見ると、体にびっしりと入れ墨がはいったおっさんがいた。

お父さんは「ブラァ!」とわけのわからない文句で叱りつけ、娘を猛スピードで脱衣所の方まで連れて行ってしまった。





石屋さん

オレは85番のふもとにある公園でテントを張ろうと、山の方へ向かう。なかなか道がややこしく、通りすがりの人に道を尋ねる。その人と話していると、ちょうどタツミさんが山の方から下りてくるではないか。その道を尋ねた人はナカダイラさん、彼は



「もしよかったらうちで休んでってください」



と2人を招いてくれた。



家はすぐ近くにあり、相当立派だった。玄関など、オレの自宅の居間以上ある。しかもすべて高級感あふれる石でできていた。



「うちは、石屋なんです」



なるほど。

この町、「庵治(あじ)」では「庵治石」と呼ばれる日本一優良な石が採れるらしい。「山が削られてるの、見ませんでした?」いわれてみれば岩肌が見えている山があったかな。この「庵治石」、主に墓石に使われるらしいが今は量も少なくなり、相当貴重だそうだ。



居間でビールをごちそうになる。タツミさんはシャワーを浴びさせてもらっていた。しばらく話した後、夕食の準備ができているので、どうぞ、といわれる。

ええ!飯までごちそうしてくれるの?うう、ありがたい。なんでもここの家の主人が遍路好きらしく、もう7、8回まわっているそうだ。オレはそのおっさんと話したかったが残念ながら帰りが遅く、ゆっくりと話せなかった。



夕飯を食べた後、夜景がきれいな場所があるということで車で連れていってもらう。普段ならもうノリノリなのだが、この日は疲れていたのか異常に眠く、景色どころじゃなく寝ないようにがんばるのがやっとだった。自分の足をつねったりして必死に眠らないように努力していた。



この夜は結局、このナカダイラさんの家に泊まることになった。だって家に戻ったら



「隣にお布団敷いておきましたので」



いやこりゃ泊まるしかないっしょ。しかし本当に嬉しい。オレとタツミさんはたくさんお礼をいって、一晩お世話になった。


20日目 ~結願~



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