16日目 ~奇跡(大袈裟?)~

スタート位置:愛媛・西条市
札所:2ヶ所
64番 前神寺
65番 三角寺


奇跡


朝はゆっくりしてた。温泉にも入って、日記も書いた。
支度を終え、温泉の駐車場に向かう。チャリに荷物を積んで駐車場を出るとき、目の前にコンビニがあった。ちょっと朝飯食ってくか、と思い、そちらに向かうと、、、

「あーーーーーー!!」

聞き覚えのある声が。見ると、マコトではないか!しかも両親と一緒だ。マコトは実家が愛媛で、遍路が終わったら両親が迎えに来る、ということは聞いていたが、今日だったのか。それにしてもなぜこんなに朝早く、しかも石鎚温泉の駐車場に、、、!?

石鎚温泉のすぐ前は64番の寺。それをこの朝ちょうど打ち終わったのだという。彼女は区切り、ひとまずこれで家に帰るのだそうだ。
そして、

「今日泊まるとこある?うち泊まんなよ」

やばい。めっちゃ嬉しい。オレはあまりに急な話に戸惑いながらも感謝した。

「なにかもっていこうか?荷物あると大変でしょ」

そしてオレの荷物は全てマコトの車につまれ、オレのチャリの荷台は空になった。

オレは彼女らの車を見送り、軽いバックパック一つでコンビニに向かった。
本当にお遍路ではなにが起こるかわからない、異常に軽くなったチャリをこぎながら、思った。

64番を打った後、目指すは難所三角寺である。多少距離はあるが、チャリならどうって事はない。しかも軽いし、しかもしかも今日は宿も決まっているのだ!ペースをあげてもしょうがないし、ゆっくりいくことにした。


同じ大学の人


国道をまっすぐに進んでいて、あったのはイイダ君。W大の4年である。彼は区切りで、今回二回目らしい。イイダ君、なぜかトートバッグを持っている。しかもめちゃくちゃ重い。トートを持ちながら歩いている遍路ははじめて見た。

お互い自己紹介をして、オレが自分の大学名をいうと、前に同じ大学の遍路さんが歩いているという。イイダ君は昨日同じところに泊まったそうだ。オレ以外にいたのか、、、!!ちょっとした親近感と、どんなやつなんだろうという興味がわき、オレはイイダ君に別れを告げ、先に進む。

いた。彼はフルヤ君、キャンパスはちがう人だった。もちろん会ったことはなかったが、こういう知らない土地で同じ学校の人と会うのはちょっと嬉しい。しばらく道端に座って話をする。

後から、黒い袈裟を着た坊さんがきた。彼はトウジョウさん、この人は坊さんなのに腕にびっしりと入れ墨がはいっている。昔はやくざだった、というか極道の息子らしい。その後に料理人になり、そして出家して京都で坊さんになったそうだ。すごい人生だ、、、



そんな人生経験豊富な人だからかわからないが、坊さんのくせに話がすごく俗っぽい。もう猥談ばかりである。この猥談話の時、フルヤ君が話してくれた遍路中の経験談がすごかった、、、

ある晩、野宿をしようと市役所かなにかの軒下にはいっていったそうだ。辺りは真っ暗で、ひと気はなかった。寝ようとしてしばらくすると、向こうのほうから27、8くらいの男、そして25、6くらいの女のカップルがやってきた。なんだかいいムードのようである。そしてみていると、突然男が告白した。しかもその台詞が

「好きじゃーーーー!!!」

女の方はたじろいで、

「え、でも、、、」

この時、フルヤ君は「あ、だめだなこりゃ」と思ったらしいが、男はその女の返事を待たずに、唇をふさいだという。そしてその後は、、、

「土佐犬のようだった」(F君談)

しかもそれがなんと3時間も続いたらしい。フルヤ君は移動するとバレる位置にいたため、出るに出られずずっとみてたそうだ。っていうか、苦痛だろそれ、、、

そのカップル、コトが済んで帰るときに、女は男の腕に寄り添っていたという。
土佐の恋愛はすごい。

そんな話をしていると、イイダ君も追いついてきた。4人でしばらく話して、お札を交換し合った。オレは三角寺のことが気になったので、先を急ぐことにする。

昼はセルフうどん。セルフはいい。ボリュームたっぷりだし。東京のうどんとはえらいちがいだ。うどんは四国。まちがいないね。

三角寺に登る途中、おばあちゃんからペットボトルのお茶のお接待がある。うれしいです、感謝です。
ここけっこう坂がきつくて、チャリを押したりしながら進む。上からの眺めはすごいきれいだった。








マコトの家



下山して、ダイエーを目指す。そこでマコトと待ち合わせをすることになっていたのだ。近くの公衆電話で終わったことを伝え、迎えに来てもらう。来たのはマコトのお父さんで、軽トラに乗ってきた。チャリを積んでいいらしい。ありがたい。

家に着くと、マコトが玄関で待っていた。オレは昔マコトのお兄さんが使っていたという部屋に案内されてくつろいだ。風呂にもはいり、洗濯もさせてもらった。そして「今晩はなにが食べたい?」と聞かれる。どこかに連れていってもらえるらしい。もう本当にここまでしてもらって、バチがあたりそうだ。焼肉屋にいくことになった。

焼肉屋で猛烈に食べ、ビールを猛烈に飲み、すっかりいい気分でマコト宅に戻る。その後居間でご両親と少し話し、オレとマコトは部屋に戻った。

酒がまわってて結構眠かったが、居心地がよくて寝るのがもったいなかった。こうやって夜、家で話していると友達の家に遊びにきたような感じになり、遍路にきているということを忘れる。あまりに安全な場所にいるので、このまま電車に乗ったら15分くらいで自宅に戻れそうな感じがした。