14日目 ~タオル工場~

スタート位置:愛媛・久万町

札所:8ヶ所

46番 浄瑠璃寺

47番 八坂寺

48番 西林寺

49番 浄土寺

50番 繁多寺

51番 石手寺

52番 太山寺

53番 円命寺





峠越え

あさ、意外に早く目が覚める。やはりいくら遅く寝ても明るくなると起きてしまう。支度をしていると、外にいつの間にかマコトがいた。マコトとハヤカワさんはバスで峠を降りるらしい。くうう、、、





この後バスでいってしまわれた。





彼らを見送った後、オレは遠回りをして峠を降りる。距離は3~4倍あるが、そっちの方が平坦だとチャリマップに書いてあった。この遠回りコース、昨日のうどん屋の前を通ることになるのだ。近くに来てふと思い出し、みてみると、案の定店の前にマコトが忘れていった杖が立てかけてある。オレはそれをチャリの荷台にはさみ、進む。もし、もう一回会うことがあったら返そう。会えなかったら、、、その時は、オレが使おう。



峠のくだりはもっのすごいスピードだった。時速50Kmで他の自動車と並んで峠を突っ切っていった。昨日あれだけ登りがんばったもんな。しかしホントに四国は山だらけだ。



次の寺で、マコトとハヤカワさんに会う。結構会えてしまうもんだな。「はやいねー」といわれた。確かに速かった。ブレーキ焼けるかと思ったし。



マコトに杖を渡すと、すごい驚いて感激してた。ああ、なんかオレいいことしたなあ。オレはその寺の人にみかんとハトサブレーをお接待してもらった後、2人を後に、先に進む。ここら辺は寺の間隔が狭いから、がんがん進める。





途中ほんのちょっとご一緒した歩き遍路の方。







文章にしてもつまらないので特に書いていないが、

一日の大半はこういうなにもない道をひたすら進む。





この日は、一日中だるかった。昨夜マコトと夜遅くまで話してたのが響いているのかもしれない。こういう時はよく道を間違えたり、きちんとしたペースで走れなかったりする。

しかしそれでもひたすら進む。四国一有名な温泉、道後温泉もビューーっと横を通り過ぎる。そして行き先は愛媛北、今治へ。この今治までの道はかなりあるのだ。





夕焼けと(よく見えないけど)びっしりの鳥





もう夕方4時をすぎていたが、疲れと体調の悪さで頭はぼーっとなって、あまりよく考えられないまま「まあ走ってりゃいつか着くさ」という気持ちで今治に向かう。ほんと、こういう判断は後で後悔する。どんどん暗くなってきて、また疲れているので気分も不安定。ハイテンション、ローテンションを一人で繰り返していた。





夕涼みにきた家族

夜も遅くなり、延命寺ちょっと手前の公園、星の浦公園に着いた時はもうへとへとだった。しばらく辺りを見渡していたが、なかなかいけそうだ。今日の寝床はここに決定。近くに食べる場所があるかどうか知りたかったので駐車場にいたおっさんに話しかけた。おっさんは他2人のおばさんと一緒で(きっと家族だろう)、いろいろ教えてくれた。いつでもそうだが、四国の人に道を尋ねるとすごいいろんな事を教えてくれる。しかもこのおっさんは特に親切で

「よし、車で連れてってやろう」

といって、近くのスーパーまで連れていってくれた。

オレがそこで買い物をした後、またさっきの公園まで戻る。この間、他の2人のおばちゃんはオレの自転車を見張っていてくれたらしい。なんて、いい人たちなんだ、、、ポカリスエットまでくれたし、、、本当に感謝です。

きっとこのご家族は公園に夕涼みに来ていただろうに、こんなことまでやらせてしまって、、、オレは深々と頭を下げ、ご家族らの車を見送った。





タオル刺しゅう工場

そして接待フィーバーはまだまだ終わらない。このご家族の車が去った直後、別のおっさんが話しかけてくる。

「あんた、テントか?」

「あ、はい」

「テントはるくらいやったら、うち泊まってもええよ。きたないとこだけど」



びっくりした。前回のヤマウチさん宅に続き2回目である。遍路、しかもチャリ遍路で四国の人の家に2回も泊まるとは思わなかった。オレは嬉しかったが、いちおうどんな人なのか話を聞きながら確認する。荒っぽかったり、ホモっ気があったら要注意だ。なんでも、孫といっしょに夕涼みに来ているらしい。孫がいるのか、それなら安心かな。まったく、やはり東京の「基本的に知らない人を信用しない」という感覚は抜けはしないな。しかし用心するに越したことはない。


この人はオオタさん。自宅は公園のすぐ近くにあった。家の隣に今は使ってない貸し店舗があって、そこに泊まらせてくれるのだそう。案内された部屋は、確かに汚かった。でも屋根があって、水があるだけでいい。業務用のうるさい扇風機、流すのにちょっと工夫がいるトイレ、切れかかっている蛍光灯、あるだけでうれしい。オレはゴザの上に荷物を広げ、やっと落ち着くことができた。





これだけあればもう十分すぎるくらいである。





おっちゃんは蚊取り線香を持ってきてくれた。また奥さんと、2人のお孫さんを連れてきた。おばちゃんはなにかごはんを持ってきてくれるといい、大きなバスケットを持ってきた。その中は、、、


シュウマイ
いなり寿司
ポテトサラダ
肉のたたき
レタス
ブドウ
アロエヨーグルト
ビール二本
その他いろいろな飲み物


ひゃーーーっほう!!もう感激である。オレは食べ物を目の前に、一礼して、かなりサイコーな気分でいただいた。

ちなみにさっきスーパーで買ってきた弁当は食べきれないので、明日の朝食べることにして、冷蔵庫にしまって置いた。



食べ終わり、しばらくすると、ヒマである。部屋を見渡すと2年前くらいの週刊誌があった。2年前かよ、、、と思いながら何気なくパラパラやると、Hな写真が、、、ああ、遍路に来てからHなことには禁欲的だからなあ(凸凹神社は例外)、、、やばい、想像が暴走する前に雑誌を閉じる。



間もなく、おっちゃんがきた。

「うちの方で一杯やらんか?おばちゃんが話聞きたいそうだよ」

嗚呼、もう是非!!!



そしてオオタさん宅の居間で飲んでいたのだが、突然



「巨人は好きか?」

と聞かれた。





、、、これはどう答えていいものやら、、、軽々しく「はい」とかいって、もしオオタさんがコアなアンチ巨人で、「でていけー!」とかなったらどうしよう、、、



そんな心配をしていると、「ちょっと来てみな」という。オレはオオタさん宅の隣にある工場の方についていった。そこには、大きな機械があり、その上にはオレンジ色の無地のタオルが並べられていた。そのタオルに、機械が猛烈な速さでいっせいに刺しゅうを打ち込んでいる。そう、オオタさん宅は刺しゅう工場をやっているのだ。

オレはそのタオルが打ち込まれる様をしばらくぼーっとみていた。するとなにか見慣れたマークが、、、完成した柄には、

「2002 CHAMPION GIANTS」

とあった。オレはそもそも野球にそんなに興味はないんだが、まだ試合終わってないじゃん。なのにCHAMPION!?

これはもうすでに巨人が優勝することを予想して作っているらしい。そうしなければ当日に間に合わないそうだ。考えてみればその通りだな。だけど、、、



「これで巨人がコケたらこのタオルはどうなるんだろうな」



オオタさんは笑いながらいっていた。



(*ちなみに2002年、巨人は勝ちました。あの膨大な数のタオルは、無駄にはならなかったようです)

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