11日目 ~大切なモノをなくす~

スタート位置:高知・土佐清水市

札所:2ヶ所

39番 延光寺

40番 観自在寺


ネコとアリ

朝、昨日のホームレス遍路のおっちゃんたちの話し声と、テントをバリバリ引っかく音で目が覚める。はじめは何の音かと思ったが、すぐにわかった。ネコだ。飼っているからわかる。なんでバリバリやっているのかわからないが、とりあえずこっちはテントの内側からバンバンやって、追っ払う。まったく、なんて朝だ、、、もう一眠りしようと思い、はたに目をやると、アリがいっぱいいる!!

昨日のお好み焼き屋さんからお接待でもらったりんご、朝食べようと思って普通に脇に置いてたのがいけなかった。わいたわいた。しかもなぜかわからないがオレの靴と靴下にも。謎。

今日は朝からテントの中のアリ退治に翻弄された。まったくもって、なんて朝だ、、、


朝、出発前にホームレスカップルに接待でもらったニッキ飴をあげる。一人旅じゃ食べないからな。これもかなり感謝された。


朝食は「ジョイフル」。こっちによくあるファミレスだ。日記書いてのんびりしていたらいつの間にか9時。二時間くらい日記を書いていたのか。12時までに中村に着きたい、と思っていたのだが、、、



再会

中村にいく途中、軽装のマウンテンバイクを前方に発見。あまりに身軽なので地元の人なのかな、と思いチャリで走りながら話しかける。この人はソウマ君、大阪の大学の4年生だ。四万十川で借りられるレンタルサイクルを使って足摺岬まで行こうとしたらしい。これはその帰り道ということである。あまり計画を立てないで適当に来たらしい。いや、恐れ入る、、、

話しながら進んでると疲れを忘れる。なんだかんだで11時頃には中村に着いてしまった。彼には名刺をもらった。無事、自宅に戻ったら連絡する予定。






途中であった、遍路ではない、ただのチャリダー。





延光寺でお参りして、あるラーメン屋を見つけたのでそこで飯を食うことに決定。するとなんとこないだのあの女子大生チャリダー3人組がいた!いや奇遇だねこりゃ。しかしお互いのペースがあるので、オレはラーメンを食いに店に入り、彼女達はまた先にいってしまった。そして、この日、もう会うことはなかった。もう絶対に会わないだろうな、と思ってたのに、こんなこともあるんだな。もしかしたら、また会うなんて事があるかもしれないな。



大切なモノ

愛媛に入り、観自在寺の手前であることに気づく。



ケータイがない。



もともとこの旅でケータイは極力使わないよう心がけていた。どっぷりと四国の世界にハマりたかったからだ。だからケータイは万一の際、事故や病気などが起きた時のために使うものと決めていた。そもそもチャリをこいでいる時にはケータイチェックなんてできないし、かなりその存在は忘れていたのだ。しかし、ない。



それからしばらくかなり落ち込んでいた。観自在寺に着き、真っ先にお願いしたことは「ケータイが見つかってください」。この旅にきて家族、友人と会えなくなり、会えないからこそそういう人たちが大切なんだ、ということに気づいた。 ケータイもそうだよ、、、

大切なものは失った時に気づく。なんだか初日のような不安がよみがえった。「この旅、本当に続けられるのだろうか、、、」


今思うと「たかがケータイ」という感じだが、一人旅で大切なものは「安心感」なのである。山道で怪我しただの、暴走族に襲われただのという「有事の際」に助けてくれるアイテムがなくなるのは、辛い。

お参りした後、近くの河原で荷物を全てひっくり返す。今夜のテントまで待てない。ない。恐れていたことが起こってしまった。すぐに東京の自宅に電話して、親にケータイを使用不可にしてもらうよう頼む。



ま、なくなってしまったものは仕方がない。東京に帰ったらシャクだけど新しいの買おう。あーあ、せっかく「写メールデビュー」したのに、一ヶ月も経たないうちになくすとは。しかも新しいの買うのに2万かかる。かなりブルー。今ごろ誰かの手に渡っているのだろうか。



嗚呼、写真、死んでも見られたくない、、、!!!



そして、最近知り合った人のメールと番号、グッバイ。



気分を取り直そうと、ジュースをぐーっと飲む。いつでも大切なのは気分コントロール。いく分か落ち着いた。四国遍路の道のりも半分来たところで、お大師さんも我に新たな試練を与えたもうたか。ま、もう半分来たし、残り半分がっつり頑張ってやろうじゃないか。





歩き遍路の人達。





おっさんライダーとのロマンチックナイト

チャリ地図には『須の川キャンプ場』がいいと書いてあるので、そこを目指す。着いたのは夕方5時過ぎ。ここはキャンプ場使用料一泊300円らしいが、管理人のおっちゃんは「タダでいいよ」といってくれた。ナイスおっちゃん!ついでにシャワー代120円もただ。オレだけ?それとも、ここはいつもこうなのか?とにかくラッキー。





この日のテント場。草の上に張るとふかふかで気持ちいいけど、朝露でびしょびしょになるのがタマニキズ。







オレ以外誰も客がいなかった食堂。





キャンプ場の隣、「はまゆう」で山菜そば定食を食べる。汚い話で恐縮だが、一人旅をしていると栄養が偏りがちになる。最近こころなしか便のキレが悪い。もっと野菜をとらなければ。



シャワーを浴びに行く。水しか出ない。いくら夏といっても、夕方の水シャワーはキツイ。そういえば、高校の寮生活の頃、よく朝シャワー遅めにいくと、みんながお湯使いまくった後で出なくなっちゃってて、水で我慢したっけな。凍えながら、そんなことを思い出していた。



この日、キャンプ場で一緒に泊まったのはライダーのサトウさん。なんか気が弱そう。『こち亀』の本田みたいだ。夜、サトウさんは持っていたキャンプ道具でコーヒーをつくって、ごちそうしてくれた。この人は山形出身、会社員だけどツーリングが好きで有休使って高知一周に来ているのだそうだ。遍路は特にしていない。



夜9時頃まで小さな灯りひとつ、キャンプ場のテーブルでずっと話してた。そう、星がすごいきれいだった。四国の星空は本当にきれいなんだ。もうブワーって星が散らばってる。普通に天の川とか見えたし、しかもこの時は流れ星までみた。なんてロマンチックなシチュエーション。それを40すぎたおっさんと2人で



「あ、サトウさん、今流れ星みえましたよ!」

「え、ほんと!?」





、、、なんかせつねえ。






夜はまた日記を書いている途中で寝てしまった。この時は今までの教訓を活かし、耳栓、シュラフ、長袖シャツ、しっかりとした枕を作って寝た。