10日目 ~ばあちゃんと イギリス人とホームレス~

スタート位置:高知・窪川町

札所:1ヶ所

38番 金剛福寺





コンビニにて

朝、ちょっと寒かった。やはり屋内であってもテントのカバーはつけるべし。コンビニでメシを食おうと思い、向かうとなんと昨日の3人がいる。落ち合わせたわけでもないのに、結構偶然な気がする。コンビニ前でおにぎり食べながら、話す。そこへ遍路さんが一人やってきた。みたところ30そこそこのおっさんだ。彼はもう何年も旅を続けているのだという。四国にいるとこんな人と多く会うな。オレはこんな人に少し憧れるのだが、彼は意外なことに、そんな長旅の人たちを批判してた。



「はじめははぐれ者なんだよ。そしてアウトローになっちゃってね、そんな自分を正当化するために嘘をつき、ペテン師になっちゃうんだよ」



長旅の人は大体みんなそうなっちゃうという。あなたはちがうのか?という疑問がわいたが、心に閉まっておく。

ちなみにこの時、近所のおばあちゃんがよってきて、



「賽銭に使って」



といって100円くれた。ラッキー。



その後、3人とは行き先が途中まで一緒だったので、後に1、2回会った。やはりサイクリング部、上り坂早い早い。オレはへばってチャリ押してました。

コンビニで別れた後は、会っていない。もう一生会うことはないんだろうな。そう思うとちょっと悲しい。



昼は、ひたっすら走った。





この途中撮った風景。とにかくなにもないのだ。
海岸沿いはナチュラルハイになるほど気持ちいい。







海で一休み。







景色は良いが、上り坂がきつかった。





中村~清水~足摺~清水と猛スピードで駆け抜けた。いや最後の清水戻りはするつもりなかったんだけど、寝る場所が見つからなくて、仕方なく、、、でもいってよかった。





金剛福寺、到着!





38番の金剛福寺では、般若心経の本を買った。なんかカゲタニさんに会ってからこれがまたやりたくなってね、300円だったから買った。寺の店のおっさんに、ついでに近くに寝床があるかどうか聞いたんだが、



「一番安いのはユースホステルで、5000円台だよ」



、、、高いよ。仕方がないので、清水まで戻る決意をする。礼をいって去ろうとすると、おっちゃん、手ぬぐいをくれた。ちょっとつっけんどんだったが、いいおっちゃんだ!



足摺岬の道は、面白い。ぐねぐね曲がってて、下り坂が多いからすごい気持ちいい。





木のトンネルの下り坂。







ばあちゃん

この道を通っていると、道の脇をおばあちゃんが歩いている。オレはスピードを落とし、「こんにちは」と挨拶をして素通りしようとしたらなにか話しかけてくる。オレは今日あまり人と話していなかったので少し嬉しくなり、チャリを止めて話す。



ばあちゃん「どこから来たの?」

オレ「東京です」

ば「あんれまー大変ちゃんねー」



、、、ちゃん?



ば「あんたいいお顔して、とってもかわいいちゃんねー」



、、、ちゃん、って?しかもそういってオレの腕をなでてくる。



ば「私は東京いったことあるのよ、選手に選ばれてね、水泳の、それは嬉しかったよ」

オ「はあー!それはすごいですね!」

ば「ええ、あたしゃチビだからね、浮力があるっていってそりゃもうみんなになでてもらったよ」



、、、そういうものなのか?



そして、



「あんた、どこから来たの?」

オ「、、、東京です」

ば、「あんれまー大変ねー」

オ「いや、、まあ、、、」

ば「私は東京いったことあるのよ、選手に選ばれてね、、、」



こんな会話のループが4、5回繰り返された。もうきりがないので日が落ちる前にいかなくちゃ、といってなかば強引に去った。おばあちゃんは最後の最後まで同じ事を繰り返し喋っていた。



、、、しかし、「ちゃん」って、、、!?





イギリス人

清水の町に着く。オレは寝床を探すため、めぼしい公園を地図で見つけ、偵察にまわった。

鹿島公園からみえる夕日は、きれいだった。港に面したところにちょっとしたでっぱりがあって、そこに30前後の白人の女性が座って何かを書いていた。はじめは会釈して通り過ぎたが、テントを張る場所を教えてもらいたいと思い、話しかける。



「すいません」

「はい」

「この近くの人ですか?」

「、、、えー」

「Do you speak Japanese?」

「、、、すこし」



この後は全て英語で話した。ま、たどたどしかったが、十分会話はできた。

この人はイギリス人。スカラーシップで日本に来ているらしい。なんと来月から内閣府で働くという。実は相当偉い人なんじゃ?田舎にいって東京以外の日本を知るという目的で四国に来たらしい。そりゃ、まじ田舎だよここは、、、
この人の話では、この町には高校が一つしかないからみな高校進学の際に町をでるか、もしくは漁業か農業の勉強をするらしい。だから若い人が少ないんだって。確かに少ないわ。

ちなみにこの人は東京の自由が丘に住んでるらしい。おお、たまにいくよ、とか話しながら、30分ほど経った。田舎町の漁港で、夕日が落ちる景色をバックにイギリス人と話すとは思わなんだ。全くこれだからこの旅はなにが起こるか分からない。



その人はホームステイ先の家で夕飯ができてる頃だから帰る、日本人は夕飯を食べるのが早すぎるなどといいながら帰っていった。オレは裏に草むらがあるということを教えてもらい、そこにいく。





ホームレス

草むらに着くと、テントとチャリと遍路の白衣が見えた。先客がいる模様。その先客は公園の東屋で日本酒を飲みながら歌を歌っていた。飲んでいたのは4人、男女二人ずつでみな日焼けして真っ黒、年は40から50くらいである。オレも酒を勧められ、ありがたくいただく。聞くと遍路さんは1カップルだけだという。ではもう1カップルは?と聞くと友達だという。友達、、、?ちょっと引っかかったが、オレはメシ&風呂&洗濯のため、町の方へいく。



コインランドリーに着き、洗濯機をセットした後となりの銭湯へ。初めてはいったよあんな銭湯。番頭さんがいて、男女別れてる間に座ってる。棚には名前が書かれた洗面器とせっけん箱がズラリ。常連さんのものなのだろう。マンガ「こち亀」とかでは見たことあるけど、はいったのは初めて。風呂場で湯船に使っていると、背中に立派な絵が描いてあるおっちゃん二人がはいってきた。

こりゃあもうシメは定番でしょう。腰に手を当てコーヒー牛乳。

「おばこ」というメシ屋でお好み焼きを食う。ここのおばちゃんにゆで卵5個とりんごをもらった。ちょうどあの公園の人たちと分けられるじゃん。たくさん感謝して、公園に戻る。



何気に結構心配だった。だってよくよく考えてみればあのおっちゃんおばちゃんら、どうみてもホームレスなんだもん。帰ってテントがなくなってた、なんてことがあったらどうしよう、、、とか心配してた。



戻って、テントはあった。ほっと一安心、テントの中に入ると、外から

「すみません」

との声が。出てみるとさっきのおばちゃんの一人だ。

「今、帰ってきたんですね」

「あ、はい」

「あなたのテント、ずっとみてたんですよ」





いやずっとみてなくていいよ!






なんだか不気味だが、さっきのゆで卵をあげる。すごーく感謝されてしまった。そんでもう一組のテントを張っているお遍路カップルにも持っていった。そういや、さっきのおばちゃんはどこで寝ているんだろう、、、そんなことを考えながら、寝る。

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